フエの宮廷雅楽の芸術を探求する

8月にベトナムの古都フエに到着すると、小雨と友人が「これぞまさにフエの香り」と呼ぶ独特の香りが私たちを迎えてくれました。ハノイの喧騒とは大きく異なり、フエの通りは車のクラクションもめったに響かず、静寂に包まれています。フォン川の流れが、日々の糧を得るためのストレスや慌だしさを洗い流してくれます。

初めてフエを訪れる人は、この街に興奮を覚えつつも、どこか静けさを感じることでしょう。グエン朝時代の皇城、歴代皇帝の陵墓、フエン・チャン王女寺院、フォン川、ティエンムー寺、フエ宮廷文物博物館など、誰もが知る名所を巡ることができます。しかし、こうした王室の豪華絢爛な見どころの陰で、ニャー・ニャック(ベトナム宮廷雅楽)と呼ばれる華麗な芸術の輝きがかすんでしまっているかのようです。この雅楽こそ、フエ、そしてベトナム全土が誇る至高の名作なのです。

ユネスコ世界無形文化遺産に登録されている「ニャー・ニャック(ベトナム宮廷雅楽)」は、中部トゥアティエン・フエ省の古都フエが誇る特別な芸術形式です。

フエの音楽

ユネスコはニャー・ニャックを「優雅な音楽(雅楽)」と定義しており、15世紀から20世紀半ばにかけてベトナムの王宮で演奏された幅広い音楽および舞踊の様式を指します。この雅楽は、記念日、宗教的祝祭、即位式、葬儀、公式の歓迎会などの儀式の開会や閉会によく演奏されました。現在では、ベトナム文化への敬意を表すものとして、世界中の多くの国で演奏されています。

ニャー・ニャックは、数あるベトナム音楽ジャンルの中で、唯一の国家音楽とみなされています。封建時代、宮廷音楽は王の長寿と王朝の繁栄を象徴するものとして演奏されました。そのため、「ニャー・ニャック」はベトナムの歴代王朝から高く評価されていました。グエン朝時代には、王室の重要な儀式においてニャー・ニャックが演奏されました。

フエのギター

ベトナムの無上の宝であるニャー・ニャックには独自の宮廷管弦楽団があり、管楽器、弦楽器、膜質打楽器など、ベトナムで最も価値のある楽器が使用され、豊かなリズムと深い内容を持つ歌とともに演奏されます。ニャー・ニャックの公演には、豪華な衣装に身を包んだ多数の歌手、舞踏家、演奏家が登場しました。

宮廷音楽には、大楽(Dai Nhac)、小楽(Tieu Nhac:主に民間のお祭りなどに残された管弦楽や楽曲を含む)、および宮廷舞踊の3つの形態があります。

各公演は、当時の人々の生活、希望、夢を反映した、ユニークで創造的な物語となっています。いずれの演目においても、演者全員が高い集中力を維持し、儀式の各手順を几帳面に遵守することが求められます。

扇の舞は、宴席や結婚式において、グエン朝の王妃、后妃、王女のためにしばしば披露されました。この舞は愛ある生活を称え、家庭の調和と幸せを祈願するものです。

フエの扇

悪霊退散を描いた「有変無形(Huu bien vo hinh)」などのその他の演目は、世界が魔物に満ち、道徳を無視して人類を破壊し危害を加える時代を描いています。「灯籠の舞」または「六宮花灯(Luc cung hoa dang)」は、仏教儀式で用いられる舞踊で、6回の礼拝が含まれ、それぞれ香、花、灯籠、茶、果物、お供え物を捧げる6つの舞で表現されます。後に、皇帝や皇族の誕生日に捧げる祝福の舞としても演奏されるようになりました。

私たちは皇城内にある閲是堂(Duyet Thi Duong)でニャー・ニャックを鑑賞する栄誉に浴しました。ここは約200年前のグエン朝時代に建てられた、宮廷音楽を公演するために開設された最初の劇場です。また、ベトナムで最も古い公演空間の一つであり、王の後宮のために歌劇、舞踊、宮廷音楽など数多くの芸術ジャンルが演じられた場所でもあります。格式高く荘厳な空間と神聖な雰囲気に、私たちは心から感銘を受けました。

フエを訪れる旅行者は、フォン川の遊覧船に乗ってこの格調高い音楽を楽しむこともできます。ベトナムの豊潤な遺産を学び、探求する一環として、ぜひ体験する価値のあるひとときです。